取り組み・活動

キャリア・生き方
2021年09月27日

音楽の本質を学び、プロのピアニストへ。道を究めるために大切なのは、自分自身であり続けること

WOW WORLDがスポンサーとして提供する『森清華のLife is the journey』(かわさきエフエム)は、パーソナリティの森清華さんが、最前線で活躍されている企業経営者や各界のスペシャリストの“人生の分岐点”から、「これからのキャリア、生き方のヒント」を紐解いていくラジオ番組です。
今回はゲストに、ピアニストの山田剛史さんをお迎えしました。3歳からピアノを始め、中学生の頃からピアニストへの憧れを抱くようになり、東京藝術大学へと進みます。その後ドイツへ留学し、ピアニストとして大切な基礎技術と理論を修めました。2010年に日本に帰国してから、本格的にプロのピアニストとして活躍されています。ここまでどのように道を切り開いてきたのか伺いました。

ピアニスト 山田剛史さん

※『森清華のLife is the journey』は、かわさきエフエム(79.1MHz)にて毎週水曜日 午後9時~9時30分オンエア。このコーナーでは、その中から月に1本、当社が選定した回を一部抜粋してテキストでご紹介します。

【キャリアのスタート地点】10年以上お世話になったピアノの先生との出会いが、プロの道を目指すきっかけに

3歳からピアノを始めた山田さんの最初の転機は、ブラジル人の先生との出会いでした。先生とのレッスンの日々は、ピアニストという具体的な夢を育みました。そして、プロになるためのステップとして東京藝術大学へ入学します。

森さん ピアノとの出会いはいつ頃だったのでしょうか?

山田さん 始めたのは3歳からです。水泳や塾に通うのと同じような感じで、習い事の一つとして始めました。

森さん ピアニストになろうと思ったきっかけを教えてください。

山田さん 両親の転勤があり、引っ越した先でブラジル人の先生と出会ったことがきっかけです。7歳から18歳まで、10年以上にわたってピアノを教えていただきましたが、それが自分にとって大事な経験になったと思います。その年齢で外国の方と触れる機会はなかなかないことですし、外国の方の独特な日本語の使い方や先生が見せる音楽の世界の深さに魅了されていきました。中学生になると、それまでのんびりとピアノを楽しんでいた頃とは気持ちが変わり、音楽が特別なものだと感じるようになりました。少しずつコンクールに出るようになり、将来ピアニストになりたいな、なれればいいなと思うようになったのです。

森さん そのような想いを持って東京藝術大学へ入学されたということですけれども、数ある大学の中でなぜ東京藝術大学を目指したのでしょうか?

山田さん 私の家は普通の家庭だったので、両親は私が音楽の道に進むことに必ずしも賛成ではありませんでした。両親に納得してもらうために日本の名のある大学へ進むことが必要だと思い、東京藝術大学を目指しました。入る実力がなければ、ピアニストとしての夢をあきらめ、別の道へ進もうという覚悟でしたね。実際に大学に入学してからは、ピアノだけでなく、あらゆるジャンルの人と切磋琢磨しながら学ぶことができ、大きな経験になりました。

【ドイツ留学での経験】楽曲の理論や考え方の基礎を学び、応用することで理解を深める

大学卒業後、山田さんは次の環境にドイツを選びます。日本とは違う音楽へのアプローチは、その後の山田さんに大きな影響を与えます。

森さん 東京藝術大学を卒業された後、ドイツに留学されています。留学では何を一番掴めたと思いますか?

山田さん いろんな曲に応用できる基礎の部分です。曲を演奏する際、日本は技術部分の細かい指摘を受けて完璧に仕上げていきますが、ドイツではその根っこの部分を学ぶのです。例えば基本のテクニックは6個のパターンに分かれていて、それにうまく当てはめていくというような考え方です。それを身につければ、応用して自分で曲を研究することができます。こういった理論、基礎があるからこう表現する、という音楽の裏づけを学ぶことで広がるような考え方は新鮮でした。技術だけではなくて、理論、考え方を身につけるのは、多くの方が留学で掴むことではないかなと思います。

【現在、そしてこれから】将来なりたい自分像を描き、自ら道を切り開く

ドイツから日本へ帰国した後、本格的にピアニストとしての活動をスタートします。山田さんが自らのスタイルを確立するために大切にしてきたのは「自分らしさ」を基準に考えることでした。

森さん ピアニストとして活躍されていくのは非常にハードルが高いことと思います。どのようにして職業人としての「ピアニスト」を確立していったのでしょうか?

山田さん 道なき道を自分で作ることになるので、簡単ではないですよね。ピアニストだけでなく、いろんな仕事も、試行錯誤しながらやると思いますけど、最終的には自分らしさを基準に選んでいくことになるかなと。それが学生を終えてピアニストとして10年活動してきた感想です。

森さん 自分らしさというのは?

山田さん 音大でピアノを勉強した人や、コンクールで賞を取った人など、ピアノを弾ける人はたくさんいます。その中で、自分にしかできない音楽、自分にしかできない人生の描き方とは何かをいつも考えていますね。ピアニストは舞台に立って弾くことが仕事ですが、経験の浅い人ができることは非常に限られています。それでも1年後にはこれができるようになっていたらいいなとか、3年後5年後10年後にはどのような音楽家でいたいかという目標に向かって少しずつ技術を磨いたり、側面を強化したりして、自分なりに考えながらやっています。

森さん 中長期で未来の自分を描きながら今をどう行動するか、ということでしょうか。

山田さん そうですね。私は学生生活が終わってからメインに勉強するものをバッハにしました。留学先の先生の演奏するバッハの曲に感銘を受けたというのもありますけど、バッハという基礎を勉強することによって自分が将来いい音楽家になっているのではないかと思って勉強してきました。10年経ち、自分なりの弾き方というのが固まってきて目標を実現できたと思います。このままバッハを極めるのも大事ですけど、それと同時に他にも見えてきたことが多数あるので、今は違う領域にも挑戦して、いろんな方向性を探しているところです。

【背中を押すメッセージ】自分自身であり続けることが夢の実現につながる

森さん 最後に、これから自分の夢を実現しようと考えている方々へ背中を押すメッセージをお願いします。

山田さん 自分自身であり続けることですね。プロとして道を究めるには環境に左右されず自分らしさを貫く必要があります。特にピアニストは、この身一つでピアノを弾かなければいけないので、自分自身であることからすべてが始まると思います。

『森清華のLife is the journey』
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