取り組み・活動

キャリア・生き方
2021年12月22日

組織からフリーランスを経て再び組織へ。「人のキャリア」をテーマに歩み続けた今感じること

WOW WORLDがスポンサーとして提供する『森清華のLife is the journey』(かわさきエフエム)は、パーソナリティの森清華さんが、最前線で活躍されている企業経営者や各界のスペシャリストの“人生の分岐点”から、「これからのキャリア、生き方のヒント」を紐解いていくラジオ番組です。
今回はゲストに、 株式会社ニューズピックスの佐藤留美さんをお迎えしました。国内最大規模の経済ニュースプラットフォーム「NewsPicks(ニューズピックス)」の副編集長、姉妹キャリアメディア「JobPicks(ジョブピックス)」編集長を兼任。編集者としてキャリアをスタートした当時から「人のキャリア」を見つめ続けた佐藤さんが考える、日本のキャリアの変容とは。雇用形態が変化している今、今後のキャリアを考えていく上で大切なことを伺いました。

ニューズピックス 佐藤さん

※『森清華のLife is the journey』は、かわさきエフエム(79.1MHz)にて毎週水曜日 午後9時~9時30分オンエア。このコーナーでは、その中から月に1本、当社が選定した回を一部抜粋してテキストでご紹介します。

【会社組織からフリーランスへ】厳しい就職活動を経て歩んだ編集者の道

学生結婚をした佐藤さんは、一般的な就活ルートを逃し既卒採用で就活することに。既卒の人に対する企業の風当たりの強さに理不尽さを感じます。スキルを高めて企業に入り編集の仕事を始めますが、すぐに転職。20代は「綱渡りキャリア」だったと言います。

森さん 編集者への道を目指した佐藤さんの最初のキャリアとは、どのようなものだったのでしょうか?

佐藤さん 私は学生結婚をしたこともあり、新卒で企業に就職するという、一般的な就活のルートを逃したので、既卒採用のような形でトライするしかありませんでした。企業の既卒の人への風当たりは強く「卒業しちゃったら、その人の能力が落ちる訳でもないのに、なんで企業って急に冷たくなるんだろう。理不尽だな」と思っていました。今でもそこには怒りを持っています。「何かしらの職能をつけないと」と思いスクールで学びなんとか就職しましたが、2年くらいでキャリア情報誌を出す会社に転職。20代は「綱渡りキャリア」という感じでしたね。

森さん そのようなキャリアを歩むなかで、どのようにして自分自身の編集者としての姿を確立していかれたのでしょうか?

佐藤さん もともと人のキャリアや労働、雇用など、「働きを通して個人が幸せをつかんでいく」というテーマに関心があり、興味が尽きませんでした。取材するのが「私のライフテーマ」と感じていたほどです。たとえば、今UXデザイナーやコンサルタントなどが大人気ですが、10年以上前は今のようにメジャーではなかった職業です。新しい仕事がどんどん出てきている一方で、消える仕事もある。そういう移り変わりを敏感に察知するには、企業や経済の流れを知ることが必要です。「キャリア」は広がりが持ちやすいテーマだったので、いろいろな方面に興味関心が向きました。多くの記事を制作していくうちに、他社から「副業しませんか?」という話がたくさん来るようになり、30歳のときに独立しました。

【再び組織へ】組織で出会う才能同士のぶつかり合いが新たなシナジーを生む

「フリーランスとしての自由な働き方は自分の生き方に合っている」と思っていた佐藤さんは、あるきっかけから再び会社組織で働くことに。フリーランスを経験して組織に戻ったからこそ見えてきた「組織の魅力」とは、どのようなものだったのでしょうか。

森さん 30代はフリーランスとして活動されていたとのことですが、当時はご自身のキャリアをどのように考えていらっしゃいましたか?

佐藤さん 自分で複数のクライアントを持ち、「今日は東洋経済新報社、明日は朝日新聞社」といろんな場で記事を書くのが非常に面白かったので、「この生き方は自分に合っている」「一生フリーでいい」と思っていました。

森さん しかし、フリーランスから再び会社組織に入られます。きっかけは何だったのですか?

佐藤さん 当時連載していた東洋経済で担当してくれた編集長から「ユーザーベースという会社でNewsPicksを立ち上げるので一緒にやらないか」とお声掛けいただいたことがきっかけです。フリーランスは自由ですし、自分で仕事の組み立てができる人にとってはいい働き方です。それでも、やはり組織に入ると、気候変動に詳しい人、テクノロジーに詳しい同僚など別のジャンルの才能人に出会えますよね。一緒に仕事をしているうち、「才能がぶつかり合うことによって、新しいシナジーが生まれる」というのが新発見で。フリーランスではそこまで深く関われなかったので、「やっぱり組織はいいな」と思いました。

【Z世代との関わり】価値観の違う人との仕事で感じる刺激

メディアを通して「今の仕事」のリアルな情報を伝えるようになった佐藤さん。会社が大きくなると、育成の仕事も任されるようになります。Z世代(※)の学生と関わりながら、価値観の違う人たちと一緒に仕事をする面白さを見つけます。
※Z世代とは、1990年後半から2000年代に生まれた人を指す言葉

森さん 現在はどのようなお仕事をされているのか、教えていただけますか?

佐藤さん 昨年、NewsPicksの姉妹キャリアメディアとして、JobPicksというメディアを立ち上げ、その編集長をしています。JobPicksでは、世の中にあるいろいろな職種を紹介し、その仕事をしている人に「どのような仕事か」をご投稿いただいて、今の仕事のリアルを切り取る記事を掲載しています。「職業ってこんなにあって、どんな人が向いていて、こんなことをやっているんですよ」としっかり情報公開していけば、学生さんや第二新卒の方が適職につける可能性が広がるのではと考えています。

森さん NewsPicksは大人が読者層というイメージがありますけれど、JobPicksはもうちょっと若い世代なのですね。

佐藤さん そうですね。JobPicksの読者層でもある学生インターンと一緒に記事を作ることがあって、彼らは思わぬ人選をしてきたり、意外な発想をしてきたりするのです。若い人の才能を生かしながら、ちょっと危なっかしいところはサポートし、意見を取り入れていく、というのがとても面白いですね。Z世代と私たちの世代とでは価値観が全く違うので、いい刺激を受けています。

【日本のキャリアの変容】終身雇用の限界。今の就活生が求めていることは「成長できる会社かどうか」

日本のキャリアの形が変わっていくなか、今の就活生はどのような切り口で会社や上司を見ているのでしょうか。雇用やキャリアを見続けてきた佐藤さんが思う、「キャリア選びの軸」とは?

森さん この20年くらいの間に、若い人の「キャリア観」はどのように変わっているでしょうか?

佐藤さん 「終身雇用がそろそろ限界にきている」ということを意識する人が増えました。たとえば数字的にも「この会社にずっと勤める」と思って就職する人は約半数といわれています。就活生は、「自分が成長できるか」「この会社で力が身に付くか」という切り口で、就職先を見ていますよ。上司についても「自分を成長させてくれる上司か」という見方をします。たとえば「適切なフィードバックをくれるか」「面白い仕事を与えてくれるか」など。それは上司自身にいい仕事を取ってくる力がないとだめなので、「若い人に厳しく査定されている時代だなぁ」と毎日思っています。

【背中を押すメッセージ】一番大切なことは、自分自身で決めること

森さん 最後に、これから自分の夢を実現しようと考えている方々へ、背中を押すメッセージをお願いいたします。

佐藤さん 「自分で決めること」が大切だと思います。「自分で決めることで、すごく満足感が高まる」という統計もあるくらいですから。特にキャリアや仕事選びは、「自分は何をやりたいのか」「何が向いていそうなのか」を考えることが大切です。自分は何に幸福を感じるかを考え、そこにフィットした仕事や職場を選ぶと、仕事で「楽しい!」「燃えた!」というような経験を得やすいのではないでしょうか。

『森清華のLife is the journey』
→アーカイブ放送は、こちらからお聴きいただけます