取り組み・活動

キャリア・生き方
2022年02月07日

大病を経験しキャリア観が大きく変化。複数の企業に身を置き、自らの価値を発揮できる働き方へ

WOW WORLDがスポンサーとして提供する『森清華のLife is the journey』(かわさきエフエム)は、パーソナリティの森清華さんが、最前線で活躍されている企業経営者や各界のスペシャリストの“人生の分岐点”から、「これからのキャリア、生き方のヒント」を紐解いていくラジオ番組です。
今回はゲストに、株式会社パンフォーユー取締役 山口翔さんをお迎えしました。学生時代に起業を経験後、2009年に新卒でマクロミルに入社。7年後にはグライダーアソシエイツへ転籍し、キュレーションメディアの広告事業を立ち上げました。事業が成長する最中、病気で生死をさまよった経験がきっかけでキャリア観が大きく変化したという山口さんに、これからの働き方を考える上で大切な気づきを伺いました。

パンフォーユー 山口さん

※『森清華のLife is the journey』は、かわさきエフエム(79.1MHz)にて毎週水曜日 午後9時~9時30分オンエア。このコーナーでは、その中から月に1本、当社が選定した回を一部抜粋してテキストでご紹介します。

【キャリアのスタート地点】学生時代に起業を経験。成長できる環境を求め、チャレンジを後押しする企業へ就職

学生時代、あることをきっかけに人生について考えるようになった山口さんは、友人たちと一緒に起業するものの4年生の6月頃に断念。そこから就職活動をしてIT企業に就職し、自ら大きなイベントを立ち上げるなど仕事に熱中します。

森さん 山口さんは、学生時代どのようなことに興味や関心をお持ちでしたか?

山口さん 大学3年くらいまでは世の中にそこまで関心がなく、就職についてもあまり考えていない学生でした。3年生の夏、とある起業家の先輩にお会いしたとき、「本当に君の人生は面白くないね」と、なぜか怒られまして。「人と違うことに取り組んでいくのが面白い人生なのかな」と思うようになり、そのタイミングで友人4人と一緒に起業しました。しかし4年生の6月頃 、事業がうまくいかず断念。遅ればせながら就職活動を始めました。

森さん そこから社会人としての最初のキャリアは、どのようなところに歩み出していったのでしょうか?

山口さん 就活の軸としてIT業界に身を置きたいと思っていました。ITが流行っているからというよりも、IT産業は右肩上がりでずっと成長している市場なので、そこに身を置くことで自分自身も成長し、いろいろチャレンジできるだろうと考えたからです。そしてご縁があり、マクロミルというインターネットリサーチの会社に入社しました。

森さん マクロミルではどのようなお仕事をされていましたか?

山口さん 入社後3年間は、営業に従事しました。その後人事部に異動し、主に新卒採用の責任者をしていました。そのとき「Venture’s Live(ベンチャーズライブ)」というプロジェクトを立ち上げたのです。学生さんの就活というと、大手の就活サイトで認知度の高い会社にエントリーするのが一般的で、当時のマクロミルをはじめベンチャー企業とは出会うすべがない。僕の周りにも面白いベンチャー企業がたくさんあったので、40社のベンチャー企業に声をかけて人事集団のような組織を作り、自分たちで1,000人規模の就活イベントを行いました。

森さん 自分たちで企画して立ち上げるというご経験から培われたものは、どんなことだと思われますか?

山口さん ベンチャー企業人事という共通点はありますが、採用に対するベクトルはさまざまです。そのような人たちに同じ方向を向いてもらい、まとめていくのはとても大変でした。その経験で気づいたのは「共通言語化」の重要性です。全員が集まる度に「僕たちは何のためにこのVenture’s Liveをやっているのか」「数多くの選択肢の中から後悔のない選択肢を選んでほしい。そのために僕たちは集まって、学生さんとの出会いを創出するんだ」と言い続ける。そうすることで皆がプロジェクトの目的を再認識できるようになりました。

【人生の分岐点】入社7年目に新事業へ異動するも、半年で生死に関わる大きな病気に。それまでのキャリア観が180度変わる

マクロミルからグライダーアソシエイツに出向し、今までの人事部とは全く違う広告事業の立ち上げに取り組むことになります。しかし、事業を伸ばしていこうというタイミングで、くも膜下出血に。生死をさまよう体験からキャリア観が大きく変わります。

森さん 人生の分岐点となる出来事があったとのことですが、どのようなことがあったのでしょうか?

山口さん このまま人事のキャリアを進むのか少し迷っていた頃、当時グループ会社だったグライダーアソシエイツに急きょ出向が決まり、2016年4月からキュレーションメディアの「antenna*(アンテナ)」というサービスを任されました。人事とは全く違う広告事業の立ち上げに戸惑いましたが、「antenna*」事業を何とか軌道にのせることができました。ところが、これからさらに伸ばしていこうとしていた矢先に、人生の分岐点がやってきます。2016年9月6日、くも膜下出血になったのです。ICU(集中治療室)に入り、生死をさまようような体験をしました。社会人になってからずっと全力で走ってきたため、1か月間ベッドで過ごすという経験は初めてで、いろいろなことを考えるきっかけになりましたね。

森さん すごく伸びている会社で活躍もされている中での、予期せぬ出来事だったということですものね。

山口さん そうですね。僕が人事をやっていた頃、学生さんには「5年10年のスパンで、そのイメージから逆算してやることを決めていきましょう」とよく話していました。でも、もしかすると5年後は死んでいるかもしれない。極論を言うと、明日死んでいるかもしれないということを経験し、自分の考えが180度シフトしました。逆算して考えるというよりも「今この瞬間、本当にやりたいことができているか」「今本当に、楽しくて面白いと思えていることに時間を使えているか」を、今は考えています。

【パラレルな働き方へ】「人生100年時代」自分の価値を発揮できる働き方で本当にやりたいことをする

「人生100年時代」といわれる今、山口さんは複数の会社に関わっていく働き方「パラレルワーク」が、さらに当たり前になるのではと思うようになります。価値観が大きく変わり、現在パンフォーユーの取締役として活躍しながら、複数の企業の事業開発やマーケティングなどを支える山口さんの想いとは?

森さん 現在所属されているパンフォーユーとはどのように出会われたのでしょうか?

山口さん 奇跡的に後遺症が全くなく復活し、あらためて自分のキャリアについて考える中、「人生100年時代」という考え方にとても興味を持つようになりました。企業の寿命は30年、人生は100年となると、1社だけで働き続けるというよりは、自分自身が価値を発揮できる複数の会社にパラレルで関わっていく働き方がより当たり前になるだろうと思ったのです。
そのように働ける事業を興せると、僕の死生観でもある「今を生きる」「今を楽しく生きる」というところにつながるのではと思い、「こういう事業って面白いんじゃないかな」と、いろいろな経営者に相談していました。あるとき「群馬で、パン屋さんの働き方を変えている面白い会社の社長がいるよ」と紹介されて出会ったのがパンフォーユーの代表である矢野健太さんです。2018年にPR・マーケティング面でサポートするところからお付き合いが始まりました。

森さん パンフォーユーでは、どのようなサービスを提供しているのでしょうか?

山口さん 全国のパン屋さんと消費者をつなぐプラットフォームを提供しています。主力事業の「パンスク」は、全国70店舗ほどのパン屋さんと提携し、おいしさをそのまま冷凍する独自の技術とITを活用して自宅におすすめのパンセットをお届けするサービスです。パン屋さんにはおいしいパンを作ることに専念してもらいながら、全国のお客様にパンを届けることができる仕組みです。さらに2021年12月からは日本初となる「全国パン共通券」の販売も始めました。

森さん パン屋さんや消費者に、今までにない新しい体験を提案されているわけですね。

【背中を押すメッセージ】「人生一度きり」を胸に刻み、悔いのない選択を

森さん 最後に、これから自分の夢を実現しようと考えている方々へ背中を押すメッセージをお願いいたします。

山口さん 僕が大事にしているのは、やはり「人生一度きり」という言葉です。自分も世の中もそうだと思いますが、明日どうなってしまうかわかりません。だからこそ「人生一度きり」という言葉を胸に刻んで後悔のない選択をすることが、幸せな人生になるのかな、と思っています。

『森清華のLife is the journey』
→アーカイブ放送は、こちらからお聴きいただけます