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キャリア・生き方
2022年03月09日

「もったいない」に光を!大企業勤務、専業主婦、初めての起業を経て気づいた世の中の可能性

WOW WORLDがスポンサーとして提供する『森清華のLife is the journey』(かわさきエフエム)は、パーソナリティの森清華さんが、最前線で活躍されている企業経営者や各界のスペシャリストの“人生の分岐点”から、「これからのキャリア、生き方のヒント」を紐解いていくラジオ番組です。
今回はゲストに、株式会社ロスゼロ 代表取締役 文美月さんをお迎えしました。結婚出産によるキャリアの分断から仕事復帰の難しさを痛感した文さんは、自ら起業する道を選びます。世の中の「もったいない」の可能性を活かすため、48歳で二度目の起業を決意。年齢に関係なく挑戦し続けていく中でつかんだ気づきと学びを伺います。

ロスゼロ 文美月さん

※『森清華のLife is the journey』は、かわさきエフエム(79.1MHz)にて毎週水曜日 午後9時~9時30分オンエア。このコーナーでは、その中から月に1本、当社が選定した回を一部抜粋してテキストでご紹介します。

【キャリアのスタート地点】大企業勤務から専業主婦へ、再び仕事をするために選んだのは起業の道

大企業の総合職として新卒入社した文さんは、総合職を続けながら仕事と子育ての両立をする難しさや厳しさを知り退職。結婚出産を経て専業主婦から仕事復帰しようと就職活動をするものの、子育て中であることを理由に面接で全て不採用に。「自分の職は自分で作ろう」と考え起業を決断します。

森さん 現在、起業家として非常にご活躍されていますが、最初のキャリアはどのようにスタートされたのでしょうか?

文さん 私自身「キャリアを積みたい」という強い思いがあったので、大学卒業後、大企業の総合職として入社し3年間働きました。でも、続けていく覚悟がもてず退職したのです。

森さん 続けていく覚悟とは?

文さん 転勤もありますし、当時は女性で総合職を続けていく先輩がなかなかいなくて。仕事を理由に別居婚をされている先輩は「赤ちゃんを実家に預けて面倒を見てもらいながら、週末だけ実家に帰って週明けには新幹線で出社する」という厳しい状況でした。仕事と子育てを両立する難しさを知り、「それなら早いうちに、この仕事から離れて違うことをしよう」と思い退職したのです。

森さん 次のキャリアはどのようにスタートされたのでしょうか?

文さん 退職後、結婚と出産を機に家庭のことに専念していました。4年間の専業主婦を経験したあと「社会に戻ろう」と思い、就職活動を開始します。しかし、子育て中の母親という理由でなかなか採用してもらえませんでした。だからといって、不平不満を言っていても社会はすぐに変わりません。「働きたいと思っている女性が活躍できない」という悔しい経験から、「雇われるのを待つのではなくて、自分の職は自分で作ろう。同じような思いを抱えるお母さんを雇える人間になろう」と起業の道を選びました。当時は「起業」という言葉も知らなかったのですが、「自分に何かできることはないかな」「どうすれば社会に戻れるのかな」という気持ちで、小さな事業を自宅で始めました。

【人生の分岐点】「やりたい!」を形にした最初の起業と、「失敗する怖さ」を乗り越えた二度目の起業

最初の起業は「やりたい!」というパワーで飛び込んだ文さんですが、失敗する怖さなどを知ったことで、二度目の起業を決断するまでには時間がかかったと言います。

森さん 起業家としての人生をスタートされ、改めてこれまでを振り返ったとき、文さんの中での分岐点はどのような場面だったのでしょうか?

文さん そうですね、やはり二度の起業です。最初の起業は、この道に進むしかなくさし迫っていたといいますか、「働きたい」「自分の力を試してみたい」という気持ちでした。不安よりも、むしろ「やってみたい」「人生一度きりしかないから」というパワーのほうが強かったです。さまざまな経験をしたり、多くの起業家の方から学んだりする中で、自分自身がブラッシュアップされ気づくことが増えましたね。

森さん 二度目の起業も、同じような想いだったのでしょうか?

文さん 実は、二度目の起業は48歳のときだったのですが、踏み出すまでかなり時間がかかりました。よく「年齢は関係ない」といいますが、実際は年齢や経験を重ねると、失敗への怖さや周囲からの見られ方などを気にしてしまうもので…。ただ、「自分が気にするほど周りは気にしていない」と気づいたことが大きかったです。「世間の目」というのは実際にはなく、人の脳内にあるだけ。「挑戦したことで派手にこけてもいい。きっとまた立ち上がれる」と開き直ることで、再び起業することができました。

【世の中の可能性を活かす】「もったいない」に光をあてる物づくりを通して伝えたい想い

初めての起業で事業を確立し、成長を遂げる中で芽生えた想い。文さんが二度目に立ち上げた会社「ロスゼロ」では、食品ロスを減らす事業を展開。規格外品や余剰品など、世界にあふれる「もったいない」に光をあてて、「作る人も食べる人もみんなが笑顔になれるエシカル(※1)な消費スタイルを作りたい」と活動しています。
※1 エシカル:人や地球環境、社会、地域に配慮した考え方や行動

森さん 現在、どのような事業を展開していらっしゃるのでしょうか?

文さん 食品ロスを減らすためのプラットフォーム「ロスゼロ」事業です。具体的には、製造や流通の際に出た余剰品や規格外品などを買い取り、シェアリングという形で、作り手と消費者をつないでいます。また、世の中には原材料のまま廃棄されるものがたくさんあるので、それらをリサイクルではなく、新しく価値を付けてアップサイクル(※2)した商品を作り、お客様に販売しています。
※2 アップサイクル:従来行われてきたリサイクル(再循環)とは異なり、単なる素材の原料化や再利用ではなく、元の製品よりも価値の高いものを生み出すことを最終的な目的とする

森さん 今回、そのアップサイクル商品「Re:You(りゆう)チョコレート」をいただきました。とってもおいしかったです!箱の中にメッセージが入っているのですね。

文さん ありがとうございます。食べ物は人を笑顔にするものなので、みなさんにおいしく楽しく食べきっていただけるようにと考えています。「ロスなので食べましょう」というメッセージを強調すると、商品を手に取るところから社会課題を押し付けてしまっているように感じます。そのため、全面に打ち出すのではなくパッケージの内側や小さなリーフレットに、「実はロスゼロという会社がこのような想いでやっている」とメッセージを記し、購入後に少しだけ伝わるようにしました。また、食品ロスは一社だけでは解決できない問題なので、共感してくださる人と共に、作る人と食べる人をつないでいます。

【背中を押すメッセージ】行動が全て!実行することで気づきが得られる

森さん それでは、これから自分の夢を実現しようと考えている方々へ背中を押すメッセージをお願いいたします。

文さん やはり行動が全てだと思っています。考えすぎると動けなくなってしまうので、調べる、新しい知識を得る、友人からアドバイスを得るなど、本当に少しでいいから実行してみてください。その積み重ねが大切です。行動の先にはうまくいかないこともありますが、多くの起業家を見ていると、うまくいかないからこそ工夫しています。うまくいくことが重なると、逆に大きなものを見落としてしまう気がします。私自身もたくさん行動することで、気づきが得られるようになり、「次はこうしてみよう」というアイデアや工夫が生まれるようになりました。

『森清華のLife is the journey』
→アーカイブ放送は、こちらからお聴きいただけます