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キャリア・生き方
2022年05月09日

アメフトで学んだチーム作りが原点に。多様性を認め合い切磋琢磨し協業することで強いチームに

WOW WORLDがスポンサーを務める『森清華のLife is the journey』(かわさきエフエム)は、パーソナリティの森清華さんが、最前線で活躍されている企業経営者や各界のスペシャリストの“人生の分岐点”から、「これからのキャリア、生き方のヒント」を紐解いていくラジオ番組です。今回はゲストに、Tractable(トラクタブル)株式会社 日本カントリーマネージャー兼APAC統括責任者 堀田翼さんをお迎えしました。学生時代、アメフトでチーム作りの大切さを痛感したことが原点となり、コンサルティング会社に就職。iRobot(アイロボット)社を経て、ロンドンのAIスタートアップであるTractable社に二度目の転職をし、現在はさまざまな国籍の人が集まるチームを統括しています。グローバルに活躍する堀田さんに、強いチーム作りをする上で大事な視点を伺いました。

Tractable株式会社 堀田翼

※『森清華のLife is the journey』は、かわさきエフエム(79.1MHz)にて毎週水曜日 午後9時~9時30分オンエア。このコーナーでは、その中から月に1本、当社が選定した回を一部抜粋してテキストでご紹介します。

【キャリアのスタート地点】原点は学生時代のアメフト経験。日本企業のグローバル進出に携わる

学生時代に経験したアメフトで、チーム作りの大切さを学んだ堀田さんは、チームや組織作りについて考えられる仕事に就きたいと、ボストン コンサルティング グループに入社。日本企業のアジア展開を支援する中、日本からアジアへと視座を上げ、アジア全体のためになるような仕事をしたいと思うようになります。

森さん 堀田さんがお仕事をされる上で原点となったのは、どのようなことだと思われますか?

堀田さん 高校から大学院までアメフトをしていました。クォーターバックというチーム全体を俯瞰し、指揮するようなポジションについていたのですが、それが原点になっていると思います。アメフトは他のスポーツと違って、それぞれのポジションの役割が明確に違うところが会社と似ていると感じています。そんな中で、自分のポジションだけでなく、どうすればみんながチーム全体のことを考えて同じ方向を向けるのかを、日々考えていました。

森さん そうしたご経験を積まれて、どのように社会人としてのキャリアをスタートされたのでしょうか?

堀田さん 若いうちから、チームや組織全体について考えられるような仕事をしたいと考え、いろいろな会社のインターンに参加しました。その中で、会社経営を一番身近に感じられたボストン コンサルティング グループに入社しました。

森さん 入社後はどのような仕事をされていたのでしょうか?

堀田さん さまざまな仕事をしましたが、一番やりがいがあったのは、日本の大企業のアジア展開を支援する仕事ですね。当時は2010年前後で、人口縮小や高齢化という大きな課題がありました。一方、中国をはじめアジアの成長という大きなトレンドの中、「日本企業としてどのようにアジアの成長にキャッチアップするか」というところが、大きな経営課題だったと思います。

森さん そのときのご経験で、今に活きているのはどのようなことでしょうか?

堀田さん 共通のビジョンのもと各国の優秀な人材が集まって、アジア全体のためになるような仕事をしていきたいと考えるようになったことです。当時、「日本企業」というのが主語に付けば付くほど、韓国や中国、東南アジアの優秀な人材が入ってきづらくなるのではないか、という課題意識を持ちました。たとえば逆の立場で想像すると、韓国のスタートアップがアジア展開する際、“韓国のため”とか“韓国の企業に向けて”とアピールした場合、その会社に日本人として行きたいとは思えないだろうと。この考えが、自分の視座を上げるきっかけになりました。

【コンサルから実業の世界へ】チーム作りに携わりたいという強い想いで二度の転職

日本企業のアジア展開にコンサルティングとして携わる中、改めてチーム作りの重要性を感じた堀田さんは、ロボット掃除機「ルンバ」を開発したiRobot社に転職。企業カルチャーの違いや融合の難しさ、面白さを感じたといいます。その後、Tractable社に二度目の転職をし、メンバーを統括していく中で感じたチーム作りの難しさとは。

森さん コンサルティングから実業の世界という新たな道に進まれていますが、どのような想いからでしょうか?

堀田さん いろいろな企業のアジア展開に携わる中、改めて「チーム作りに携わりたい」と思い、iRobotに転職を決めました。当時付き合いのあったCOOらに一緒にやらないかと声をかけてもらったのがきっかけです。その頃、iRobotは代理店を通じてビジネスをしており、代理店のiRobot事業を引き継ぐ形でアイロボットジャパンを立ち上げました。

森さん 実際にその事業をやってみて、どのようなことを感じましたか?

堀田さん 代理店のカルチャーと、iRobotというグローバルな組織のカルチャーには多少違いがありましたので、企業カルチャーの重要性や、代理店とグローバルなカルチャーの融合の難しさ、面白さというのを痛感する日々でした。

森さん そういったご経験をする中、いよいよTractableと出会ったのですね。Tractableに進もうと思われたのは、どのような理由だったのでしょうか?

堀田さん iRobotではアジアパシフィック(APAC)の事業開発の責任者をしていたのですが、アイロボットジャパンの挽野社長に対する憧れもあり、チーム作りや組織全体の事業責任を持つ立場に立ってみたいと思っていました。そのようなとき、ロンドンのAIスタートアップのTractableから機会をいただいたのです。

森さん Tractableでは、どのようなお仕事をされているのでしょうか?

堀田さん アジアパシフィックの統括責任者を務めています。Tractableは、自動車事故や自然災害からの早期復旧をビジョンに掲げており、日本では年間何十万という自動車事故時の損害査定に弊社のAI技術が貢献しています。

森さん 先ほど文化を融合する難しさというお話もありましたが、チームを作っていく中で難しかった場面はどのようなところでしたか?

堀田さん 幸いにもアジアパシフィックの最初の社員として入りましたので、チームメンバーの採用から関わることができました。採用の段階から、本当に優秀で会社にマッチする人を集めていけたので、すごく良いチームになったのです。ただ事業が大きくなり業務量が増えていくと、新たな人材を早急に入れるべき局面も迎えました。採用は簡単なことではありませんから、ある程度妥協すべきかもと悩んだのですが、メンバーから「納得のいく人材を採用するまで私たちもがんばる」と言ってもらったのは支えになりました。採用に妥協しなかったからこそ、とても良いチームができたのではないかな、と思っています。

【ダイバーシティの本質】さまざまな国籍のメンバーが集まる中、強いチームを作るために大切な視点とは

多様な国籍やカルチャーを持つメンバーを集めてチームを作るとき、堀田さんがどのような視点を大事にしているのか伺います。

森さん さまざまな国籍のメンバーが集まる中、強いチームを作るためには、どのような視点を持つことが大事だと思いますか?

堀田さん 二つあります。一つは、その人が何をやりたい人なのか、それに対して会社はどのような機会を提供できるか、という相性を常に見ることです。スタートアップは大変な仕事ですが、やりたいことに対して強い意識がある人は、踏ん張りが効いたり、自分の仕事を超えてチャレンジしてくれたりするものです。
もう一つは、その人が他人を理解する気持ちや、自分と他人が違うことに対して好奇心を持てる人物か、そして人に対する尊敬の念を持っている人物かどうかを見極めることです。Tractableでは、グローバルなメンバーが歴史的な複雑さを抱えながらも多様性を認め合い、分け隔てなく切磋琢磨して協業していますので、そのような視点を持つことが大事だなと思っています。

【背中を押すメッセージ】他人を知ることで自分を理解し、協業していくことが大事

森さん 最後に、これから自分の夢を実現しようと考えている方々へ背中を押すメッセージをお願いいたします。

堀田さん 「他人を知り、自分を知る」という言葉をお贈りしたいと思います。自分1人でできることは限りがあるので、他人を理解して協業していくことはとても大事です。他人を知れば知るほど自分のことも理解できますし、自分のことを理解できればできるほど、新しいチャレンジをするときの勇気につながり、本当につらいときに踏ん張れるようになります。

『森清華のLife is the journey』
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