取り組み・活動

キャリア・生き方
2022年06月07日

仕事と子育てを両立しながら、ダイバーシティの推進と女性活躍の道を切り開く

WOW WORLDがスポンサーを務める『森清華のLife is the journey』(かわさきエフエム)は、パーソナリティの森清華さんが、最前線で活躍されている企業経営者や各界のスペシャリストの“人生の分岐点”から、「これからのキャリア、生き方のヒント」を紐解いていくラジオ番組です。今回はゲストに、大和ハウス工業株式会社 東京本店 東日本開発事業部事業部長 走内悦子さんをお迎えしました。1986年、旧・リクルートコスモス に入社後、不動産事業に携わります。現在、大和ハウス工業にて、女性で唯一の事業部長として活躍中。仕事と子育てを両立しながら、ダイバーシティの推進と女性活躍の道を切り開いてきた歩みを伺いました。

※『森清華のLife is the journey』は、かわさきエフエム(79.1MHz)にて毎週水曜日 午後9時~9時30分オンエア。このコーナーでは、その中から月に1本、当社が選定した回を一部抜粋してテキストでご紹介します。

【キャリアのスタート地点】男女雇用機会均等法施行年に不動産会社へ就職

就活時「長く働ける会社で仕事をしたい」と考えていた走内さんは、人の生活を支える責任ある仕事として興味を持った不動産会社に就職。現在も多くの不動産事業に携わっています。

森さん 最初のキャリアは、どのようなところからスタートされたのでしょうか?

走内さん 私が社会人になったのは、男女雇用機会均等法が施行された1986 年です。不動産業界に進もうと思った理由は三つあります。一つ目は、人が生きていく上で衣食住は大切な要素であり、中でも住まいというのは、非常にダイナミックで繊細な仕事だと思ったこと。二つ目は、町や地図が好きで、町を作るという仕事にも大変興味を覚えたこと。そして三つ目は、そこで働く女性が生き生きとしていたことですね。資産価値が高く事業期間も長い、人の生活を支える責任ある仕事内容に興味を持って就職しました。

森さん 現在は、どのようなお仕事をされているのでしょうか。

走内さん 不動産の開発と再生の仕事をしています。土地を買って保育園や賃貸マンション、ビル、クリニックモール、老人ホームなどを作ったり、すでに建っているビルや賃貸マンション、ホテルなどを購入し修繕工事やバリューアップ工事で再生して投資家に売却したりする仕事です。

【キャリアの選択】仕事と子育ての両立を選び、女性管理職の道を切り開く

「子育ては母親が仕事を辞めてするもの」という風潮が強かった時代。走内さんは、仕事と子育てを両立させる道を選び、さらに管理職へとキャリアアップしていきます。

森さん 走内さんは仕事と子育てを両立してこられたそうですが、出産当時は、どのようなことを感じていましたか?

走内さん 会社からは、「自分で育てたらどう?仕事続けるの?」という話もあったのですが、当時私は課長で、新しいことにチャレンジしてキャリアを広げていこうとしているときでしたので、仕事を辞めようとは全く思いませんでした。

森さん 今ですと、仕事と子育てが両立できるような体制も整ってきていますが、当時はやはり大変だったのではないでしょうか。

走内さん はい、大変でした。育児休業法が施行された年に出産し、育休の権利はあったのですが、代わりの課長を配してもらえなかったので、産んで2カ月で会社に戻りました。朝早くから夜遅くまで仕事をして、帰ってから離乳食を作ったり、保育園から持ち帰ってくる汚れた服を洗濯したり、保育園の日誌を書いたり。本当に寝る時間もなかったです。子どもと一緒に過ごす時間が少なかったので、子どもに対して非常に罪悪感がありましたが、一緒にいる時間をすごく大切にして、「ママはあなたたちが一番大切よ」と伝えながら一生懸命仕事をしましたね。

森さん 仕事と子育ての両立をしていく中で、どのようなことを大事にされていましたか?

走内さん やはりバランスですね。一日は24時間しかないので、仕事にしても家族との時間にしても、何が一番大切なのかを書き出しながら、絶妙なバランスで両立していました。あとは、助けてもらうことも大切だと思います。当時はモデルケースがなかったので、何に困っているのか、何が大変なのかをなかなか理解してもらえませんでした。ですから、周囲に対して「私はこういう状態です」ときちんと伝えてみなさんに助けてもらい、常に周りに感謝をしていました。

森さん そのようなとき「部長になってほしい」と言われたそうですが、どのような心境でしたか?

走内さん 経営に参画できるというのは非常にやりがいがあることだと思いましたね。自分でいろいろなことをコントロールでき、発言権が増していくことになるので、前向きに捉えました。管理職は荷が重いと感じる女性も、まだ多いかもしれません。私が実際に経験して感じたのは、自分ならではのリーダーシップを発揮し、責任ある行動を取れば、周囲から信頼されるということです。それが自分のやりがいや生きがいになりましたね。

【ダイバーシティとの出会い】女性がキャリアを築き、活躍するために大切なこととは

長時間労働が当たり前だった時代。「ダイバーシティ」という言葉に出会った走内さんは、働き方改革プロジェクトを社内で立ち上げ推進します。

森さん 組織の中でキャリアを積む中、社外の世界も見てみようと思われた時期があったそうですね。どのようなことがあったのでしょうか?

走内さん 毎日がむしゃらに仕事をしていく中で、少し先のキャリアを広い視野で考えてみようと思っていたところ、2013年に横浜市で待機児童をゼロにした女性市長がいると知り、ぜひ会ってみたいと思いました。市長が開催している女性活躍の講演会に参加し、そこでダイバーシティという言葉を初めて学んだのです。社内の役員会で「ダイバーシティを勉強してきました」と言ったら、「お台場にあるの?」という反応が返ってきて、このままでは良くないと危機感を持ちました。今後は多様性が会社の経営において重要であると考え、働き方を変えていくプロジェクトチームを立ち上げ、活動を開始しました。

森さん それはどのようなプロジェクトだったのでしょうか?

走内さん 当時は長時間労働が当たり前で、土日も仕事をすることが重宝されていた時代だったのですが、時間にいろいろな制限がある方は活躍できません。まずは仕事の生産性や成果を重視するような考え方を勉強し、リーダーの育成や評価につなげていくというプロジェクトを推進していました。

森さん しっかりと評価と結びつけていく。これがやはり大事ということですね。走内さんは女性で唯一の事業部長ということですが、女性のみなさんに伝えたいことはありますか?

走内さん 女性には女性の強みがあると思います。協調性や柔軟性、利他性、倫理観など。これらの強みは、リーダーにとって、とても必要な要素であると思います。ぜひそれらの強みを生かして、キャリアを築いていただきたいですね。多くの方が私の後に続いていただけるとうれしいな、と思います。

森さん 一方、管理職や役員の方々は、女性の活躍に向けてどのような視点で取り組んでいけばいいのでしょうか?

走内さん 女性には、通らなければならないライフイベントがあるので、その点を女性の強みと共に理解していただきたいです。女性社員が仕事と家庭の両立に対して「大丈夫だろうか」「大変ではないだろうか」と思っていたら、背中を押し、期待していただきたいなと思います。若いうちから思いっきり仕事を任せて、仕事の軸をしっかり体験できるようにし、応援し見守っていただくことが大切かと。決して優しくすることではなく、厳しい仕事と厳しいアドバイス、達成したときの喜び、それを一緒に歩んでいただければと思います。

【背中を押すメッセージ】「すべからく自分」全て自分の力で道を切り開いていく

森さん 最後に、これから自分の夢を実現しようと考えている方々へ、背中を押すメッセージをお願いいたします。

走内さん 私には、「すべからく自分」という、とても好きな言葉があります。うまくいかないことを周囲や環境のせいにしない。全て自分の力で道を切り開くという意味です。チャンスってたくさんありますが、それに気づくか気づかないかは、自分の心構え次第だと思います。小さなチャンスでもそれをつかんで、必ず結果を出すことが大事です。逃げない、あきらめない、感謝を忘れない。そうすることで、チャーミングで素敵な毎日をつかんでいただければと思います。

『森清華のLife is the journey』
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