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夢がなくてもいい。たとえリストラにあっても、目の前のことに懸命に取り組み続ければ道は開ける
本記事は、WOW WORLDがスポンサーを務めていたラジオ番組『森清華のLife is the journey』の放送内容の一部をテキストでご紹介するものです。
当番組は2025年3月に終了するまで、かわさきエフエム(79.1MHz)にて8年半にわたり放送。パーソナリティの森清華さんが、最前線で活躍されている企業経営者や各界のスペシャリストの“人生の分岐点”から「これからのキャリア、生き方のヒント」を紐解きます。(※文中の組織名、ゲストの方の肩書等は放送当時のものです。)
今回はゲストに、株式会社ネクスウェイ 代表取締役社長 松森正彦さんをお迎えしました。東京大学工学部を卒業し、リクルートに入社。エンジニアとして10年経った頃、社内公募に手を挙げ、リクルート・アバウトドットコム・ジャパン(現・オールアバウト)の立ち上げに奮闘します。充実した日々を過ごす中、リーマンショックの影響を受け40代でリストラを経験。当時の心境と、そこからどのように新しい挑戦を続けていったのか、そして松森さんの日々の仕事への向き合い方を伺います。
東京大学の工学部で研究をしていた松森さんが、就職先として選んだのはリクルートでした。具体的な夢を持っていなかった大学時代、キャリア選択の基準にしていた考えとは?
森さんー 学生時代は理系の研究をされていたそうですね。社会人として最初のキャリアに、なぜリクルートを選ばれたのでしょうか?
松森さんー 大学時代は車が好きということもあり、ディーゼルエンジンの研究をしていました。
正直に言いますと、大学を卒業するときは具体的な夢がなかったのです。就活でさまざまな会社をまわっているうちに、キャリア選択の基準として、あまり自分と同じような人がいない会社で働きたいな、と思うようになりました。
森さんー どのような理由で、そう思われたのでしょう?
松森さんー 二つあります。一つは異なる価値観の人と働くことで、他の人にはない能力を発揮して活躍できるのではないかと思ったから。もう一つは、自分と異なる価値観の人と接することで、新たな発見があったり日々刺激を感じたりできるのではと思ったからです。
その基準で選んだのがリクルートです。当時のリクルートは、体育会系サークルや部活のような雰囲気があり、ロジカルに研究してきた自分とは対照的で、楽しめるのではないかなと思いました。
リクルート入社後は、初めて手掛ける仕事に面白さを感じ、10年間夢中で働きます。そして、新たなチャレンジをしたいと社内公募制度に応募し、新規事業の立ち上げに奮闘します。
森さんー リクルート入社後は、どのようなお仕事をされていたのでしょうか?
松森さんー 入社して10年は、エンジニアとしてシステム開発をメインにおこなっていました。90年代のリクルートは、システム開発に関する知見が社内にあまりなく、新人だろうが5年目だろうが、全て自分で一から調べながら取り組むといった状態でした。私が実際におこなう仕事も、会社として初めて取り組むような内容が多く、私としてはそれが非常に面白くて。
当時は、周りの社員も含めて、会社に長時間いるのが当たり前のような感じで猛烈に働いていましたね。仕事に没頭する日々でしたが、メンタル的にはそんなにつらくなく、時間があっという間に過ぎ、楽しめた10年間でした。
森さんー そうした面白さも感じながら、一つ転換点があったそうですね。どのようなことがあったのでしょうか?
松森さんー 当時としてはめずらしい社内公募制度の第一期生として、社内のベンチャーに応募したことです。2000年頃といえば、インターネットがどんどん広まってきた時代で、インターネット関連の新規事業が多かったのです。10年間ずっと同じ部署にいて仕事にも慣れてきていたので、新しいことができるチャンスならばチャレンジしてみたいという興味もあり、応募しました。
そして、リクルート・アバウトドットコム・ジャパン(現・オールアバウト)に転籍することになりました。まさにゼロからの立ち上げだったので、新しいオフィスに足りないものを秋葉原に買いに行くところから始めました。そのときもがむしゃらに働きましたけれど、楽しい経験でしたね。
順調にキャリアを重ねていた松森さんでしたが、リーマンショックの影響を受けて、まさかのリストラに。その経験を得難いものと気持ちを切り替え、さまざまなことに取り組みます。楽天への再就職を経てネクスウェイへ移り、社長として活躍されている現在までの話を伺いました。
森さんー 夢中で働く中、人生の分岐点を迎えるとのことですが、一体どのようなことがあったのでしょうか?
松森さんー リーマンショックが人生の分岐点となりました。オールアバウトは広告による収入がメインだったので影響はかなり大きく、一時的に業績が悪化したためリストラにあったのです。実は今でもその社長とは仲良くしているのですが、当時社長から告げられたときは、頭が真っ白になりましたね。
森さんー それまでのキャリアを考えると、本当に思いもよらない出来事ですね。
松森さんー そのときはかなりショックだったのですが、しばらくすると「ちょっと美味しい経験なのでは」と思うようになったのです。ハローワークでの職探しや、エージェントと話をして仕事をみつけてもらうような経験は、誰もができるわけではありません。このような経験をしておくことで、将来同じようなことが起こったときに対応できるだろうし、自分の引き出しも増えるな、と思いました。
そのときはちょうど2カ月ぐらい仕事が空いたので、さまざまな転職の手段を試したり、多くの人に会ったりしました。時にはPTAにも参加して。せっかくなので、できることは何でもしようと思い、わりと気持ちを切り替えていましたね。
森さんー なるほど、そのようにして次に向かわれたのですね。そして楽天への再就職を経て、ネクスウェイへ進まれたと。
松森さんー はい。ネクスウェイは、自分がリクルートで初めに所属していた部署がスピンアウトしてできた会社なので、古巣へ戻ったような感覚でした。
しかし戻ってくると、10年前とは違う新たな課題がいくつかありまして。ちょうど2009年、2010年というのは、システム開発をある程度社内でおこなわないと、ビジネスのスピードに追いつかないという状況でした。当時ネクスウェイが外注中心におこなっていたシステム開発を、これからどういう体制にしていくかを考えるなど、とても面白いなと思いながら仕事ができました。
森さんー そのように取り組まれてきたネクスウェイでは、現在どのような事業を展開されているのでしょうか?
松森さんー メインの事業としてはFAXの送信サービスです。そこから派生して、さまざまな企業間のコミュニケーションサービスを提供しています。FAX以外にも郵送や、最近は携帯電話の番号でメッセージを送信できるSMSでの送信サービスを企業様にご利用いただいています。
森さんー これから自分の夢を実現しようと考えている方々へ、背中を押すメッセージをお願いいたします。
松森さんー 自分は夢がない、今やりたいことがないということを、あまりネガティブに捉えないでほしいと思います。
私自身、やりたいことや夢などがなかった時期が、実は多いのです。しかし目の前にある仕事をきちんとこなし期待に応えるだけでなく、期待以上の成果を出せるよう、しっかりと取り組んできました。そうしていると、思いもよらないタイミングで「これが自分の使命ではないか」「これはすごく興味が持てる」というものが降ってくることがあるのです。
この先に何があるか分からないので、流れに身を任せながら機会が訪れるのを待とうという気持ちでいると、楽しく仕事ができるのではないでしょうか。
『森清華のLife is the journey』
→アーカイブ放送は、こちらからお聴きいただけます
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