取り組み・活動

キャリア・生き方
2024年06月28日

お客様の言葉からプロ意識に目覚め、家業の米穀販売に邁進。徹底した品質追求で外食現場に伴走

WOW WORLDがスポンサーを務める『森清華のLife is the journey』(かわさきエフエム)は、パーソナリティの森清華さんが、最前線で活躍されている企業経営者や各界のスペシャリストの“人生の分岐点”から、「これからのキャリア、生き方のヒント」を紐解いていくラジオ番組です。

今回のゲストは、株式会社ハマノ 代表取締役 濵野永靖さんです。同社は明治40年創業の米穀専門店で、現在は都内の飲食店・給食事業者を対象にお米を販売。品質にこだわり、「優良産地の銘柄選定・精米技術・炊飯知識」の強みを生かした提案もおこない、現場でおいしいご飯が炊き上がるまでをサポートしています。

代々続く家業の4代目として采配を振るう濵野さんは、学生生活を終えてまずはコンビニエンスストア業界に就職しますが、先代からの打診を受け家業継承を決意。幼少期から育まれたお米への思いと、現場で鍛え上げられたプロ意識をもとに、食生活の変化で国内需要の減少が続く米穀業界において事業成長を成し遂げてきました。そんな濵野さんに、キャリアに対する考え方や思いを伺いました。

株式会社ハマノ 代表取締役 濵野永靖さん

※『森清華のLife is the journey』は、かわさきエフエム(79.1MHz)にて毎週水曜日 午後9時~9時30分オンエア。このコーナーでは、その中から月に1本、当社が選定した回を一部抜粋してテキストでご紹介します。

【キャリアのスタート】当初は自身の興味に従いコンビニ業界に就職。父からの打診を受けてお米や家業に対する思いを新たにし、家業継承を決意

米穀専門店を営む家に生まれ、家業を身近に感じながら育った濱野さん。毎朝食卓にはガス釜で炊いたおいしいご飯が並び、つやつやとしたお米の光沢や炊飯の芳ばしい香りが強く記憶に残り、現在のキャリアにもつながっているといいます。学生時代はオーケストラ部の活動に熱中し、チェロを担当。就職活動時には家業を継ぐという選択肢はまったく意識せずに、興味のあったコンビニエンスストア業界に入り、キャリアをスタートされます。

森さんー コンビニエンスストア業界に入られて、どのような業務を担当されていたのでしょうか?

濵野さんー 店長として店舗運営に携わり、発注業務や売上管理、人事・アルバイト管理など、多岐にわたる業務をこなしていました。

森さんー 当時の経験で今に生きている部分はどんなところでしょうか?

濵野さんー 当時のコンビニエンスストア業界は、業界内や異業態間の競争激化などにより、かなり厳しい経営環境にありました。私は新入社員の店長として荒波にもまれる形となり、そのおかげでメンタル面が鍛えられて、ちょっとやそっとではめげない、打たれ強い人間になることができたように思います。

森さんー コンビニエンスストア業界から家業へと移られたのはいつのことですか? どんなきっかけがあったのでしょうか?

濵野さんー コンビニエンスストアに入社して1年ほどたった頃、父に呼び出され、家業の継承について相談されました。父には「100年近く続く家業を絶やしたくない」という思いがありました。私としても、家業への親しみの念やお米に対する強い思いがあったため父の考えには共感できましたし、それまでも「家業を継ぐ」という考えがまったくなかったわけではありませんでした。当時すでに米の国内消費量は低下傾向にあり、事業の将来性に対する懸念はありましたが、父から相談されたこのタイミングで思い切って後を継ごうと決心しました。

森さんー 改めて米穀業界という新しい世界に入られて、どのようにキャリアを積まれていったのでしょうか?

濱野さんー 当社はお米を販売するだけではなく、炊飯の現場でおいしく炊き上がるまでをサポートするという方針で事業をおこなっていますので、お米そのものに関してはもちろんのこと、精米技術や炊飯に関しても深い理解が求められます。そこでまずは、先輩の米穀店のもとで学んだり、お米の専門資格取得に向けて通信教育を受講したり、お米関係のセミナーへ参加したりして、お米に関する基礎知識を吸収しました。そして、そうした知識をもとにして実地で経験を積み重ねていきました。

森さんー 社長に就任されてから20年以上になられるとのことですが、過去を振り返ってみて、キャリアの分岐点といえるような出来事はありましたか?

濵野さんー まだ入社間もない時期に、こんな出来事がありました。納入先のお客様から「ご飯がうまく炊き上がらない」というご指摘を受けて、私がお客様のお店に出向いて対応することになりました。座学で吸収した知識をもとにしていろいろと改善に向けた提案をさせていただいたのですが、現場に即した的確な提案ができず、ついにはお客様から、「米屋さんはいったいいつからプロっていえるのか」というような厳しい言葉をいただいてしまいました。
その言葉を聞いた瞬間に私ははっとして、いかに自分が経験不足であり、現場での対応力に欠けているかを思い知りました。そして、一つひとつの現場やお米に真摯に向き合い、お客様から謙虚に学びつつ、お米のプロとしてのスキルを高めていかなければならないと強く実感しました。

お客様の言葉をきっかけに、頼れる「プロ」にならなければならないと決意を固めた濵野さん。天候に左右されやすく、美味しさを一定に保つことが難しいお米と向き合い、品質を真摯に追求する姿勢とお客様・生産者様への感謝の念をもとに、米穀事業の発展に取り組んでいきます。


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