取り組み・活動

キャリア・生き方
2024年10月31日

神戸市役所の多様な部署でキャリアを重ね神戸市と首都圏のパイプ役に。縦割りの壁を突破しスタートアップ支援に奔走

WOW WORLDがスポンサーを務める『森清華のLife is the journey』(かわさきエフエム)は、パーソナリティの森清華さんが、最前線で活躍されている企業経営者や各界のスペシャリストの“人生の分岐点”から、「これからのキャリア、生き方のヒント」を紐解いていくラジオ番組です。

今回のゲストは、神戸市東京事務所長 武田卓さんです。神戸市東京事務所は神戸市と首都圏のパイプ役として、関係諸機関との連絡調整や情報の収集・発信を担当。現在は特にスタートアップ支援に力を入れ、神戸市におけるスタートアップエコシステムの構築に向けて、首都圏のスタートアップやベンチャーキャピタルなどとの接点作りや連携強化に取り組んでいます。

武田さんは大学卒業後にファクトリーオートメーション総合メーカーのキーエンスに就職しますが、病を患い、闘病のため入社まもなく退職。その後、神戸市の職員となり、多種多様な部署を経て、5年ほど前からスタートアップ支援事業を担当されています。

そんな武田さんに、キャリアに対する考え方や思いを伺いました。

神戸市東京事務所長 武田卓さん

※『森清華のLife is the journey』は、かわさきエフエム(79.1MHz)にて毎週水曜日 午後9時~9時30分オンエア。このコーナーでは、その中から月に1本、当社が選定した回を一部抜粋してテキストでご紹介します。

【キャリアのスタート】民間企業を病で退職し、公務員としてキャリアを再スタート。多種多様な部署を経験し、内外連携・スタートアップ支援の要職へ。

武田さんは神戸市役所にお勤めですが、奈良県生まれ。公務員というキャリアの選択肢についても、大学在学中にはまったく考えることはなく、民間企業を対象にして就職活動をおこない、キーエンスに入社されます。

森さんー 民間企業でキャリアをスタートされてから、神戸市の職員となられるまでの間には、どのようないきさつや決断があったのでしょうか?

武田さんー キーエンスには1年ほど在籍しましたが、なかなか思うようにいかず、最終的には病を患ったことをきっかけとして、退職することになりました。闘病後、再就職の道を模索しますが、当時はまだ第二新卒を積極的に採用するような動きはなく、就職氷河期のまっただ中でもあったため、再チャレンジで大手企業に就職することは困難でした。たまたま友人の中に省庁に勤める人物がいたことから、公務員という選択肢が思い浮かび、最終的に神戸市に入庁することになりました。キーエンスでは神戸営業所に配属されていましたが、退職時点では、もう神戸に戻ってくることはないだろうと考えていました。今思えば、神戸営業所に配属されたのも何かの縁だったのかもしれません。

森さんー 神戸市に入庁されてからは、どのようにキャリアを積まれていったのでしょうか?

武田さんー 最初に配属されたのは、市営地下鉄・市バスを運営する部署でした。それから、職員管理、生活保護、神戸医療産業都市プロジェクト、ゴミ収集効率化プロジェクトなど、多種多様な部署を経験していきました。

森さんー ご自身の経験から、公務員の仕事の面白さはどんなところにあると感じていらっしゃいますか?

武田さんー 市役所には多種多様な部署があり、3年〜5年単位でまったく異なる分野の部署へと異動になります。そのつど異業種企業に転職するような感覚です。こうしたキャリアパスの振れ幅の大きさが、公務員の仕事の面白さだと思います。面白いと思えるかどうかは個々人の適性にもよりますが、自分は飽き性なので、この仕事がぴったりだと感じています。とはいえ、最初の頃は仕事に対してどうモチベーションを抱いたらいいのかわからず、戸惑いました。精力的に仕事をこなしている上司や先輩に尋ねると、当然のように「神戸のため」という答えが返ってくるのですが、それもピンと来ませんでした。多様な部署を経験していくうちに、自分にもそういう感覚が自然とわいてきて、仕事にのめり込めるようになっていきました。

森さんー 一方で、公務員という仕事の難しさは、どんなところにあるでしょうか?

武田さんー 新しいことにチャレンジしていく上で、役所内の縦割り構造が壁になります。それをどう突破して、新しいことを実現していくかが、この仕事の難しいところだと思います。神戸市では、縦割り構造に対する問題意識から、市長の発案で2019年に「つなぐ課」という部署が創設され、私は初代の「特命課長」を務めました。「つなぐ課」にはルーティン業務のようなものはなく、部署を超えた連携をあれこれと探りながら、行政課題解決に向けたさまざまな政策をまとめていくのが役目です。

森さんー ご自身の経験から、縦割りの壁を突破するためにはどのような点が重要だとお考えでしょうか?

武田さんー 改善策を一方的に押しつけるのではなく、関係する各部署にとってどんなメリットがある策であるかをしっかりと説明しつつ、従来のやり方に対して再考を促していくことが重要だと思います。

森さんー 2020年以降はスタートアップ支援に取り組まれているとお聞きしていますが、スタートアップとの出会いは武田さんにとってどのような意味をもたらすものでしたか?

武田さんー スタートアップ支援事業を通して出会った起業家の方々は、一人ひとり違った原体験を背景にして、非常に大きな熱量で仕事に取り組んでいる方ばかりで、衝撃を受けました。そのような方々に出会えたことは自分にとって大きなことであり、「新しいことをやりたい、チャレンジしたいという方が集まり、それを実現できる土壌をつくる」ことがイノベーション創出にとっていかに重要なことであるかを考えるきっかけとなりました。

最初に就職した会社を病で退職し、再チャレンジのために公務員というキャリアを選んだ武田さん。まったく違った分野へと定期的に異動していく公務員の働き方が性格に合致し、多種多様な部署で精力的に活動。部署間を連携して行政課題の解決を担当する要職を経て、イノベーションに関わる人々を結集するスタートアップ支援事業へとキャリアを進めていきます。


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