取り組み・活動

キャリア・生き方
2025年01月31日

製薬会社トップセールスから医師に転身。使命感を胸に、 医療課題解決を目指す会社を設立

WOW WORLDがスポンサーを務める『森清華のLife is the journey』(かわさきエフエム)は、パーソナリティの森清華さんが、最前線で活躍されている企業経営者や各界のスペシャリストの“人生の分岐点”から、「これからのキャリア、生き方のヒント」を紐解いていくラジオ番組です。

今回のゲストは、株式会社EN 代表取締役兼CEO 鎌形博展さんです。同社は医療業界の課題解決とより良い社会の実現を目指し、医師採用支援、介護施設向けオンコール代行、医療分野新規事業開発支援、クリニック開業・継承支援などのサービスを展開しています。

鎌形さんは薬学部を卒業して中外製薬に就職し、営業職(MR)として活躍しますが、同僚の急死をきっかけにして医師に転身。救急医療を専門とする勤務医として経験を積む一方で、慶應義塾大学大学院でMBAを取得 。その後、大学発ベンチャーの立ち上げなどを経て、2023年に株式会社ENを設立。これまでの経験をもとに、若手医師を対象としたキャリア相談もおこなっています。

そんな鎌形さんに、キャリアに対する考え方や思いを伺いました。

※『森清華のLife is the journey』は、かわさきエフエム(79.1MHz)にて毎週水曜日 午後9時~9時30分オンエア。このコーナーでは、その中から月に1本、当社が選定した回を一部抜粋してテキストでご紹介します。

【キャリアのスタート】製薬会社入社1年目でトップセールスに。同僚の急死をきっかけに医師へと転身し、救急医療の道へ

子供の頃は体が弱く、病院通いを繰り返していたという鎌形さん。病気の苦しみを医師に救ってもらったことが原体験となり、やがて医療分野に進むきっかけとなります。薬剤師をしていた母の影響で薬学部に進学。薬剤師の資格も取得しますが、卒業後は別の道へと進みます。

森さんー 大学卒業後は医療従事者とはならず、別のところからキャリアをスタートされたそうですが、それはどのようなお仕事だったのでしょうか?

鎌形さんー 製薬会社の営業職で、MRと呼ばれる仕事です。医療機関を回って自社製品の特性を説明し、処方薬として採用してもらうようにアピールするのが業務の中心です。

森さんー 営業職を選ばれたのはどのような理由からでしょうか?

鎌形さんー 薬学部に入ったものの、薬剤師の仕事は自分には向いていないように感じられました。1年生か2年生のときにMRの存在を知り、興味を覚え、待遇面も魅力的だったことから、MRというキャリアを思い描くようになりました。当時、バイオテクノロジーを用いて作られる医薬品、いわゆるバイオ医薬品というものが登場し、ある種のがんや悪性腫瘍など、従来の医薬品では対応が難しかった病気にまで治療の可能性を広げるものとして注目されていました。MRとしてそうした新しい治療薬を世の中に広める仕事をしたいと思い、バイオ医薬品に率先して取り組んでいた中外製薬に就職しました。

森さんー MRとして働いていた当時は、将来のキャリアについてどのようにお考えでしたか?

鎌形さんー 入社1年目から営業成績トップになり、順風満帆という感じでしたが、これから40年ずっとMRの分野でキャリアを積んでいくという自身のイメージがわかず、ゆくゆくは会社全体の戦略を考える仕事をやってみたいと考えていました。

森さんー そうしたなかで、医師への転身という決断をなさるわけですが、それにはどのようなきっかけがあったのでしょうか?

鎌形さんー 子供の頃の原体験から、医師の仕事への憧れがあり、MRの営業先でいろいろな医師に会うなかで、その思いが刺激されたりもしました。決定的なきっかけは、入社2年目の終わり頃に同僚2人が相次いで急死したことです。「自分もいつどうなるかわからない。なんとなく生きるのではなく、後悔のない人生を送らなければ」という気持ちになり、キャリアについて深く再考した結果、「医師になりたい」という強い思いが顕在化し、医学部編入という決断に至りました。

森さんー 医師としてはどのような分野を専門に選ばれたのでしょうか?

鎌形さんー 救急医療の分野です。編入学当初は、前職との関係から、腫瘍やがんを診る専門家をキャリアとしてイメージしていたのですが、臨床研修を受けるなかで救急医療の仕事に引き込まれていきました。また、自分の中には「医師とは命を救う人」という医師像があり、自分が属する診療科の診療をこなすだけでは不十分で、例えば目の前に命の危険にさらされて倒れている人がいたら、命を救うために適切な判断と処置ができる人間でなければならない、という考えがあります。そうした医師像に自分が近づくためには、救急医療の現場で自分を磨くのがよいと考え、東京医科大学病院の救命救急センターに就職しました。

森さんー 実際に医師として救急医療の現場に立ってみて、実感されたことはどのようなことでしょうか?

鎌形さんー 救命救急センターで患者さんに施すことができる処置の内容は、運ばれてきたときの状態でほぼ決まってきます。患者さんの回復度合いは、搬送にかかった時間や適切な応急処置の有無など、運ばれてくるまでの状況に大きく左右されます。医師個人や医療チームの働きだけでなく、搬送システムの拡充や救急隊の活動範囲拡大、災害対応体制の整備など、医療政策や社会システムに関する側面が重要だと実感しました。そこで、慶應義塾大学大学院のMBAプログラムに進学し、そうした側面を学ぶことにしました。

薬学部から製薬会社に進み、MRとしてトップの成績を収めながらも、幼い頃の原体験や同僚の急死による気持ちの変化から、医師へと転身した鎌形さん。医療の現場で患者と向き合いながら、医師としての仕事にやりがいを感じ続け、医師となってからも既存の形にとらわれないキャリア を意欲的に追求。MBA取得後は大学発ベンチャーの立ち上げにも関わります。さらに、クリニックの開業・医療法人化を経て、医療業界の課題解決に貢献すべく株式会社ENの設立へと至ります。

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